クロインコ Greater Vasa Parrot

種類一覧
名前和名:黒鸚哥(くろいんこ)※別名ウスズミインコ
英名:Greater Vasa Parrot
学名:Coracopsis vasa
分類オウム目オウム科クロインコ属
原産地マダガスカル
分布マダガスカル共和国各諸島
サイズ約50cm、
羽色雌雄で違いはない
全身黒色、翼と尾羽が濃灰色
食性穀食性、種子、木の実、果実
寿命20~30年
価格*****
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発情期がちょっと特殊 クロインコ【Coracopsis】

クロインコの生態・分布

クロインコは、マダガスカルとコモロの全域に分布する鳥です。
マダガスカルでは、乾燥した落葉樹林で生息し、騒々しい大きな群れを作り、野生のベリー、果物、ナッツ、種子、さらに栽培されたトウモロコシ、アワ、米などを食べています。
クロインコは月明かりの夜に活動しますが、それ以外の場合は大きな木のてっぺんをねぐらとします。
見張りをする鳥がいて、危険を警告します。

クロインコの学名「Coracopsis nigra」は、ギリシャ語のkorax(カラス)とopsis(外見)からの造語で「Coracopsis」となりました。
日本では、別名「薄墨鸚哥(ウスズミインコ)」とも呼ばれ、その名の通り薄い墨の様なグレー色をしています。

生息域ではよく見られ、全体的に個体数は減少していると考えられていますが、絶滅危惧種として分類するほどではありません。
国際自然保護連合は、この鳥の保護状況を最も懸念されていないものとして分類しました。

クロインコの雌雄の判断

羽色は雌雄同色です。

メスの方がオスより若干大きいです。
成鳥は繁殖期になると雌雄の判別が簡単です。

クロインコの繁殖と子育て期

クロインコの最大の特徴は、オウム目の中で唯一「ヘミペニス」という生殖器を持っていることです。

ヘミペニスとは、有鱗目(爬虫類)のオスの生殖器です。
ヘビやトカゲの大半がこの形態で、哺乳類の生殖器とは違い左右に一対づつ有しており、普段は体内に収納されていますが、繁殖期になるとヘミペニスが膨れ上がります。
その中に精嚢があります。
完全なヘミペニスが出せる状態になっているオスは、ろう膜周りの皮膚や下嘴裏の皮膚が黄色くなります。

クロインコのメスも繁殖期にはかなり変わった形態になります。
メスは幼鳥や若鳥の頃は、他の鳥類同様に体全体に羽毛が生えています。
しかし、年を経て性成熟が進むと、頭部の羽毛が抜け落ちてしまうのです。
繁殖可能なメスはまるで「ハゲタカ」の様な容姿なります。
皮膚もピンク色からくすんだ黄色へと変化するので、繁殖の準備ができたということが一目瞭然です。

クロインコの発情ダンスも個性的で、意中の相手に対し首を大きく伸ばし、8の字を描くようにクネクネと動かして相手にアピールします。
相手もOKなら、キリンのようにお互い8の字を描きながら首を絡め合います。

通常、他のインコはヒナに吐き戻しの餌を与えますが、クロインコは胸部に薄い膜状のヒナ餌専用の器官が作り出されます。
その袋に入っている透明な液体を、吐き戻して雛に与えるのです。
鳩のピジョンミルクのようなこの液体は、脂っぽくてベタベタしているので、羽が汚れないようにメスの頭部の羽根が抜けると言われています。

また、メスは発情期には換羽せずに羽根の色が黒灰色から茶褐色に近い色に変わります。
これは尾脂腺から分泌される脂やホルモンの影響といわれます。
この変色は若いメスにも起こり、部分的に茶色の羽根が増えたり減ったりします。

繁殖の時期は不明で、鳥には珍しく一妻多夫制です。
繁殖期のメスはかなり狂暴になり、複数のオスが交代でメスと雛に餌を運ぶのですが、何かメスの逆鱗に触れることがあると、雄を殺す勢いで激昂し、殺してしまうこともあります。
なのでクロインコの人工繁殖には、出入口が1箇所の巣箱ではなく、オスの逃げ道のために、2箇所以上の出入口が必須です。

クロインコは成長スピードがとても速いインコです。
他のインコのヒナに見られる「綿毛」が生えてくることはありません。
羽毛は、約1ヶ月弱で尾羽から順に、ピンク色の地肌から羽が生えてきます。

クロインコの性格・形体

一般的に他の大型インコ同様、人に懐きやすく、基本はおっとりとした性格をしているといわれています。

ペットとしてはあまり一般的ではありませんが、飼い主からはコンパニオンアニマルとして、称賛するコメントが寄せられています。
非常に賢く、そのくちばしは硬い木を破壊できるほどですが、噛んだりする子は少ないようです。
ただし、発情期のメスはとても狂暴です。

クロインコの鳴き声

通常大型のインコやオウムと言えば「甲高い鳴き声」で防音対策は必須です。
ところがクロインコは「猫」の様な非常に柔和な鳴き声を発します。
発情期などには結構大きな声で鳴き、かなり騒々しいようです。

クロインコの寿命

クロインコの平均寿命は20~30年と言われています。
情報量が少なく定かではないですが、飼育下ではもっと寿命を延ばすのではないかと思われます。
50年以上生きた報告もありました。

クロインコの価格・値段

日本ではあまり見かけることもなく、販売しているショップ等検索してもわかりませんでした。
SNS等でみかけるので、絶対手に入らない絶滅危惧種とはちがい、珍しい鳥を扱っているお店などに問い合わせてみると予約できるかもしれません。
昭和時代にはかなり安価で取引されていたようですが、現在は高額だと思った方がよいでしょう。

まとめ

他のインコ・オウムたちとはちょっと違う生態のクロインコ。

普段見かけることもなく珍しい鳥ですが、海外ではコンパニオンアニマルとしての評価が高いです。
地味な見た目ですが、人懐こく賢いのできっと良いパートナーになってくれるのでしょう。

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